取り組み概要
フランスではフランス政府関連組織の環境・エネルギー管理庁(ADEME)が動いている。これは2007年7月-10月に行われた環境政策を立案するための環境グルネル懇談会※1を受けたもので、ADEMEは小売業者2社(カジノ社、ルクレール社)においてCFP算定・表示のパイロットプロジェクトを開始し、環境情報算定・表示に関する一般的な原則である「適正行動規範」を策定している。
今後はこの「適正行動規範」に基づき、機能または環境影響が同じ12のグループ・業界毎(下表)にワーキンググループを設置して、環境情報算定方法等の詳細検討を行う予定としている。この「適正行動規範」では温室効果ガスだけでなく、水や農薬などその他の環境影響への指標も含めて検討を行うとしている点が一般的なカーボンフットプリント制度と異なる。
また一方、この懇談会を受けて環境情報の一般消費財への表示義務化の法案制定に向けた検討が行われている。これは、消費者に製品に関する環境情報を知ってもらうことを目的として、それらの情報を提供するシステムを2011年1月1日までに策定するというもので、2009年6月に採択予定としている。具体的な対象商品・環境情報の中身や、誰が表示(法的義務化を含め)するか等は今後の法規命令で決定する予定としている。
※1新たな環境政策としてフランスのサルコジ大統領が発表した環境に関する懇談会。政府だけでなく、環境NGO、地方自治体、企業経営者等が一体となって具体的な方策を6つのワーキンググループにわかれて検討。
・最新の調査結果はこちら (出典:2010年(平成22年)1月28日(木)第3回第三者認証スキーム検討委員会 資料3 海外調査報告書サマリー)
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取り組みの流れ |
12のグループにわかれて詳細検討 |
パイロットプロジェクトについて
カジノ社は、2008年6月から食品8商品(ヨーグルト、炭酸飲料、生地類)にラベル表示、目標はPB商品全体への表示としている。また、ルクレール社はフランス北部の2店舗で2008年4月から2万点の商品についてCFPをプライスカードに表示している。
▼ カジノ社とルクレール社における取り組み方法
企業 |
環境影響指標 |
対象店舗 |
表示媒体 | 対象製品 | 算定方法など |
カジノ社
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CO2
(温室効果ガス) |
フランス国内の全店舗
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商品パッケージ
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PB商品のみ
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・使用段階を含まず
・同系商品でも材料によって異なる |
ルクレール社
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CO2
(温室効果ガス) |
フランス北部2店舗
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・プライスカード
・レシート |
全体
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・使用段階を含める
・同系商品であれば同じ(メーカー・材料関わらず) |
▼ カジノ社商品パッケージへのCFP表示・ルクレール社プライスカード・レシートへのCFP表示
(出典)JETRO 通商弘報 2008年8月4日 http://www.consoglobe.com/
カジノ社では生産・製造・梱包・販売の5ステージについてCFP算定を行うとしており、使用段階については含めないとしている。これは、カジノ社側で直接的またはサプライヤーを通じてコントロールが可能な範囲についてまず算定するという考え方だという。データは、Bilan Carboneやカジノ社が依頼したコンサルティング会社のデータ等を使用しており、サプライヤーから適用されるデータはカジノ社の依頼したコンサルティング会社が検証チェックを行っている。
▼ カジノ社におけるCFP算定範囲
▼ フランスにおけるCFP算出ツール - (出典)Product Carbon Footprinting and CO2-Labelling in Europe Dialogue Forum #3
表示内容としては、カジノ社は商品100gあたりのカーボンフットプリントを表示している。今後洗剤やシャンプーなどの非食品等については、温室効果ガス以外の別指標を含める可能性もあるとしている。
その他表示内容での特徴は、別の商品と比較できるようにその商品の環境影響が7段階のどの段階にあるかの表示や、消費者にリサイクル分別回収を促進させるため全ての消費者が分別回収に協力した場合の商品リサイクル率の表示などがある。
▼ カジノ社対象商品(2008年6月時点) - (出典)カジノ社 ホームページよりみずほ情報総研作成
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▼ カジノ社対象商品への表示内容 - (出典)カジノ社 ホームページよりみずほ情報総研作成
①商品100g当たりのカーボンフットプリント数値
②詳細は裏へという指示
③商品の環境影響を7段階表示で示すためのGreen ruler(異なる商品間で比較が可能)
④商品の現在のリサイクル率を表示
⑤全ての消費者が分別協力をした場合のリサイクル率を表示