エコのつながり、人のつながり ecomoyo 創刊号

創刊特別記念インタビュー 株式会社 デコス 代表取締役 安成 信次さん

安成信次社長のエコロジー哲学。30年、一途に求めた「木の家」づくりは、壮大な環境事業に結晶した。着想からビジネスモデルができるまでの環境サクセス・ストーリー。


環境創世記 Environmental Genesis

低炭素化社会の理想的モデル。 モノづくりから生まれた、循環型コミュニティが結実した。

《家》というモノづくりを追求する過程で、自然素材に行きついた。それををベースに伝統技術と高度な最先端技術の融合、人と人のつながりが環境住宅を結実させた。エコロジーを求めた結果ではなく、地方工務店がいい家を作ることをめざした結果として環境活動が相乗的に機能しているからだ。歩んだあとには巧みな環境のいとなみが色濃く残る。これは安成社長が30年の歳月をかけて創りあげたエコロジー・キングダムの歴史物語である。

環境を考えはじめたとき、会社の未来がみえてきた。OMソーラー住宅への取り組みが次世代の断熱材、デコスファイバーを生み、エコプロダクツ大賞を受賞。チームに元気が復活した。そんなときCFPを知り、それからPCR算出に取り組み、ついにCFP認証を得た。おだやかな笑顔に安成社長の人となりが現われている。環境をめざす信念にこの笑顔があったからこそ、環境住宅へと大きく方向転換した時期、人が迷わずついていけたのに違いない。そんな安成社長が独自の環境哲学、環境事業を表情豊かに語っていただいた。


《木の家》を作る-モノづくりの発想が生んだ環境活動。

きめ細かく、ダイナミックにとりくんだ安成社長の環境創世記に、多くの事業を生み出すビジネスモデルが結実した。

会社の二代目として30数年前に就任した頃、、鉄筋でつくる大型建築の時代になり、わが社は地方の小さいゼネコンのような請負業としての建設業に変わる節目だった。当時のトレンド、「2×4」(ツゥーバイフォー)やプレハブ住宅、洋風のおしゃれな白い家が大流行し、新建材が海外から入り、新しいトレンドにまい進していった。デザイン重視のプレハブ住宅に魅力を感じていたものの、全国に同じような家が並ぶようになり、躊躇する何かがあった。使い捨て時代といっても、住宅は長く使うもの、10年もたつと無残な姿をさらす新建材で家をつくることが果たしていいのか、わが社の特徴はどこにあるのか、と疑問を感じるようになった。

それは昭和が終わろうとしているとき、自分の中で壊れようとしているものを感じた。そんなことから、いつしか会社の出発点、大工工務店時代の《木の家》に戻って、コンセプトを考えるようになっていた。また同じ頃、太陽熱を使ったOMソーラー技術を提唱されていた現在東京芸大名誉教授の奥村昭雄先生と出会う。それが環境への取り組みの明確な指針となり、すべての物づくりを《木の家》をベースに1からやり直そうと決意した。おりしも時代は建売住宅の全盛期。32歳の若い社長には難しい決断だった。

株式会社 デコス代表取締役 安成 信次

32歳の安成社長の決断は、誠実な人となりが現われている。若い社長が会社という大きな図体を背負って、先代の資産ともいえる「木の家づくり」を再構築し、独創的なエコロジー・キングダムを築いていくのである。多くの若者が行き先を失って困惑しているこの時代に、社長の環境にかけた人生は1つの指針を与えるに違いない。その功績の大きさは、低炭素化社会にむけた活動の評価にとどまらず、企業人として両立がむずかしいといわれる環境と事業を融合させ、事業基盤として定着させたことにある。しかも、商品の付加価値は常に環境を中心に位置づけられている。さまざまな試みが環境技術とともに進化した。本誌のテーマ、環境創世記は、編集上のシンボルではない。まさしく日本の環境創世記を担ったリーダーの一人、安成信次社長のecomoyoを描いている。


悩み、苦しみを止めたのは奥村昭雄先生のビジョン。一瞬で天地が逆転した。

地域工務店のモノづくりが引き寄せた、セルロース技術。その交差するところに環境ライフサイクルを見た。

次の展開へと目標ができてやる気になったものの、当時は新建材が大流行していた。環境共生住宅を目指しても、メーカーが提案するのは新建材だった。そういう流れで初期の共生住宅は新建材を使うことになった。同じ頃カナダで断熱材を知るが、まだその重要性に気づかない。いろいろと研究した結果、OMソーラーの環境共生住宅の機能を生かすには、断熱材が不可欠だと実感する。そこで新建材ではうまくいかないと気づいて木の家をつくることになる。しかし何か足りないー断熱材である。

当時はグラスウール断熱材を使っていた。使用に先駆けてグラスウールメーカーの講師を招き、施工講習会を開催し、大工さんを教育したが、現場ではマニュアル通りにはいかない。メーカーはいい商品をつくるが、マニュアルどおり使えないと意味がない。それは結果的に住宅を提供する工務店の責任となる。こうした試行錯誤の結果、理想の断熱材にたどりつく。その頃、断熱材には壁の中に発泡ウレタンを塗りこむ方法、壁の外に発泡ウレタンを張る方法、セルロースファイバーの綿を壁の中に吹き込む方法の3つ方法があった。

メーカーが進めるままに新建材で家を建てるが、ちょうど当時はシックハウスや火災で有毒ガスがでるなどの問題がでてきた時期。それで環境共生住宅には、石油製品以外を試そうと、セルロースを選択した。
環境技術開発を目指した結果、新聞紙をリサイクルしてつくるセルロースファイバーに行き当たったのではなく、地方工務店がいい家づくりを目指した結果、得た回答だ。
自然素材を志向する木造住宅のメーカーとして良質の断熱材を製造するなら、完全施工性でなければならない。断熱欠損のない施工システムがあってこそ、心地よい温熱の環境共生住宅が完成するのである。
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地域工務店のモノづくりが引き寄せた、セルロース技術。その交差するところに環境ライフサイクルを見た。

もう1つの転機が違うところからやってきた。1995年(平成7年)に、住宅業界で隠れたブームがおこった。建築家や専門家のグループが提唱する「近くの山の木で家をつくる運動」である。新建材の家ではなく、日本の山を救うため、地域にある木材でつくる家づくりの提案だ。衝撃的だった。こうして新建材の問題を指摘した専門家たちの意見に目覚め、次の展開へと向かうのである。
その頃、大分県の上津江村を知る。村民1,600人の林業を産業とする大分県上津江村(現在、大分県日田市上津江町)、40代後半の若手村長、井上伸史さんがいた。この地域には伝統的な「きやどん」と呼ばれる林業の仕事があった。木材がどんどん海外から入るようになり、経営が難しくなったとき、大分県上津江村では、第三セクター「株式会社トライ・ウッド」を設立。「津江杉」はトライ・ウッドのブランドである。ここでは杉を植える、切り出す、製材、商品をつくる。木材を無駄にせず、すべて製品化し、販売利益は森林の植林やケアのために使うという、画期的な地域還元型システムで動いている。この会社がコンセプトを理解する家づくりのパートナーを探していた。

その決定的な出会いは、「木の家」で共生住宅を考えていたわが社に大きな前進を与えてくれた。こうして原産地とつながりができ、平成8年から念願の木の家を作りはじめた。
グラスウール断熱材の取り組み、問題点の解決にはじまった試みは、新聞紙でつくるセルロースファイバー断熱材の開発に成功し、いよいよ本格的な木の家づくりに着手するのである。


菊川町にできたエコロジー・チェーン。1つの《鎖》が《輪》になり、小さいながらもエコ循環が完成した。

「NPO e小日本きくがわ」&「エコロ」のおかあさん役は、「そーれきくがわ」。安成社長の熱い思いが無数のecomoyoを開花させていく。

2005年に下関市と山口県菊川村が合併。それを知って、漠然と役に立てることはないかと思った。わが社には、セルロースファイバーの材料、新聞古紙を確保する課題があった。その頃の断熱材はOEMでつくっていたが、いつかセルロースファイバー断熱材を自社でつくりたい、という宿願があった。そこで、「町の新聞紙を回収して、住宅用の断熱材をつくりり、資源循環に役立てたい」と活動をはじめる。その機会にセルロースファイバー断熱材の工場と、木材加工場をつくることにばなった。あわせて1万平米の敷地に工場を作り、この地にちなんで「そーれきくがわ」と名づけた。

[そーれ]はイタリア語でil sole、太陽のこと。地球に恵をもたらすように、地域や人とのつながりに喜びをもたらす存在でありたい―建築と環境、地域循環の分野で新たなモデルを地方から発信したいという思いをこめている。

それでも何かが足りない気がしていた。古新聞の回収に協力いただくなら、お金も循環できないかという大胆な発想で、NPO法人「e小(エコ)日本きくがわ」、地域通過「エコロ」を作った。町内の子ども会、PTA、老人会が古新聞を集めてNPOに持ち込むとエコロと交換してくれる。最近では、商店街や温泉施設でエコロを使っていただけるようになり、地元に貢献できる小さな〈輪〉ができている。「そーれきくがわ」の敷地に隣接するNPO法人のオフィスには、子供たちや老人の方々がひんぱんに出入りする。小さいながらも、1つの循環の〈輪〉が結実した。心の奥底に喜びが湧く瞬間だ。


デコスのecomoyo

  • エコなデコス、多様なecomoyo

    上津江村に縁を得て、山で植えた木が伐採され、里の工場で製材され「そーれきくがわプレカット工場で構造材となる。菊川町では町ぐるみで新聞古紙の回収、通貨エコロは地域で買い物をすると地元に還元される。回収した古紙はデコス工場で、セルロースファイバー断熱材に姿を変える。この組み合わせにより、地域でで木の家を建てる。安成社長のみた夢、「木の家をつくる」目的は、エコロジー活動と事業化という成り立ちにくいといわれる2つの価値を結合させ、環境事業システムが完成した。

  • 森林体験バスツアー

    安成工務店は、お世話になったみなさまに山の恵みにふれていただこうと、春、夏、秋の年3回、「森林バスツアー」を実施している。行き先は、ブランド杉「津江杉」のふるさと、大分県日田町上津江村。町の97%が山林からなる林業の地域。この津江杉を使って、年間でおよそ120棟の住宅を建てている。そこで、山に育つ木々と保護活動をご理解いただくために、こうした活動を定期的に開催している。これまで40回開催、参加累計は2,574人を数える。
    「護持の森」の壮大な森林、山からとどく恵みの湧き水の水源や、井桁に積み上げた1万本の丸太がどこまでも続く。それが「輪掛け乾燥」である。トライ・ウッドの製材所ではいろいろな津江杉の特性が体感できる。木工教室では「いす」や「すのこ」をつくるワークショップで木に親しみ、記念のお土産にもなる。夜には恒例のバーベキュー大会と、盛りだくさんのプログラムを用意している。
    自然に囲まれた中で、家族そろって山の「きやどん」とすごして、環境保護の意味を感じていただく。「心と心の交流ができた」と、握手して帰っていく参加者の姿は、山と町の交流が着実なカタチになっていることを物語っている。

  • 安岡エコタウン

    新幹線の新下関から車で約20分の田園地帯にぽっかり現われる「安岡エコタウン」。近くの小高い丘からは海が、また昔話に出てくるような鎮守の森もほど近い。よくある中規模のニュータウンのようだか、徹底した考えかたで住宅建築から町づくりまでエコ思想が生きている。
    近くの山々の木でつくる家、新聞紙をリサイクルしてつくる断熱材、太陽の力を借りたOMソーラーの暖房システム、壁は珪藻土塗り、台所の生ゴミはディスポーザーで有機肥料に、住まいの骨組みからエネルギー利用や廃棄物まで、使った資源を元に戻す「地域循環」をコンセプトに、エコロジーな暮らしのあり方を提案している。
    地域全体の冷暖房は木質ペレットを使った地域集中冷暖房システム。間伐材のペレットを燃やして温水をつくり、家庭に送り、各戸の冷暖房と給湯をまかなう地域集中型冷暖房システムは、世界でもほとんど例がないといわれる。
    ほかにも自治会ではエコタウンを運営するためのいろいろな決め事が用意され、住まいから地域のつながりまで、一貫したエコ思想が生きた理想郷である。

  • エコシップ/省エネ・シミュレーションソフト

    断熱材や住宅性能を測るものとして「エネルギー消費量」がある。環境問題を扱う記事で、近頃登場するようになった表現だ。
    平成13年に国がはじめた制度、「自立型循環型住宅への設計ガイドライン」は、いろいろな研究開発をまとめて2000年頃の住宅を比較したツールで、エネルギー消費量50%減を目指す住宅設計の必須技術である。
    一般標準の2000年住宅で温熱性能を計算すると、1次消費エネルギーは83GJ(ギガジュール)。当時安成工務店の住宅は約43GJ~53GJ、35%~45%と、標準より3割~4割も少ない消費エネルギーであることが、シュミレーションで判明した。
    そこで、東京大学・大学院教授、坂本雄三先生に監修いただき、創エネ量や省エネ量が瞬時にわかるソフト「eco-ship」(エコシップ)を自社開発。上記ガイドラインではギガジュールで表記されるが、エコシップはコスト(電気代)、CO2削減量、消費エネルギーがわかりやすく表示される。そのうえ、CO2削減量はポリタンクや杉の木の数で換算表示され、だれにもすぐに理解できる。
    エネルギー消費量が普及するまえに、CO2の少ない住環境、ひいては低炭素化社会のありかたを数字で「見える化」をはじめたのは革新的な試みだ。こうした経験をもとに安成社長の構想は、自立循環住宅、また現在のゼロエネルギー住宅へと結びついていく。
    住宅のエネルギー消費量がきっかけで、エコロジー・コンシャスな方々はもちろん、一般消費者の人たちが「うちはCO2をどのくらい消費しているだろう?」と毎月の消費エネルギー量を気にかけるようになることが、低炭素化社会の第一歩といえる。

目指すは、100年前と同じ100年後。

CFPエントリー、認定取得にむかった日々 CO2削減成果をカタチにするため、CFPにチャンレンジした2年間。

環境の輪を広げるために、CFP商品をめざす。
CFPの取り組みの詳しい情報は、www.decos.co.jpへ。

数年後、ふとした機会にカーボン・フット・プリントを知った。経産省が実施していたCFP試行事業の初年度のことである。自社製品、デコス・ファイバーは材料、製造工程、独自の配送システム、使用時期、廃棄までのCO2の排出が少ないことに自信があった。しかもCFP認定はわが社の事業に付加価値を与えると考え、すぐさまCFPの事務局に情報収集に向かうが、制度説明に大きな不安を感じた。PCRの取得には、難題が山積みだった。しかしCFP取得を目指そうと、工場長がデータ収集を開始。当初は社内に担当する人材がいなかったが、都合よく人材が見つかった。2級建築士の田所憲一さん。断熱材メーカー、株式会社デコス、断熱材事業部東京事務所次長である。
田所さんは、当時を振り返り語る。「未知の領域でCFPをまったく知らなかったが、安成社長からの情報、工場でのデータ収集、施工チームの協力体制があった。

それに近くにCFPの事務局があり、日参できたことなど、デコスはCFPに取り組むための条件と環境、チャンスが揃っていた」。
見えない出口、苛立ち、チームのとまどい。その中で粘り強く努力を重ね、2011年9月20日、セルロースファイバー工業会の取り組みとして、建築用断熱材としてPCRの認定がおりた。このあとも、申請、やりなおし、再算出、再申請に悩む日々を叱咤しながら歩んでいく。そして、ようやく2011年11月11日、CFP認定がおりて、わが社に念願のCFPマークのついた製品が誕生した。
チームメンバー、工場、施工担当、その他関わった全員があふれる喜びをあらわした。両肩に重責を背負っていた田所さんにとっては格別な乾杯となったに違いない、と語る安成社長にも顔一杯の笑顔が広がっていた。

担当責任者が語る、CFP認定Story

果てしない努力の先に、いつも希望があった。株式会社 デコス/断熱材事業部 東京営業所 次長 田所憲一

CFPの見える化はデコスの環境ライフサイクル進行形そのものだ。中身はまったく同じ商品でありながら、CFPマークを得たおかげで劇的に環境時代のPR活動の幅が広がってきている。

CFP認定のあと、パブリシティは新聞、雑誌、webを含め40のさまざまなメディアに掲載いただいた。環境教育やPRがやりやすくなった。CFP臨時勉強会を東京、博多、岡山、京都、それにグループ会社でも積極的に開催した。商品についたCFPマークが明確な差別化につながり、コミュニケーションの入り口となり、間口が広がった。エコプロダクツで展示報告をするなど、

商品の優位性、企業姿勢をあらためてアピールするチャンスが増えた。もちろん、会社のモチベーションが上がり、販促や活動方針に低炭素社会づくりが加わり、社会貢献活動が自然なカタチで、できるようになった。そのおかげで環境の知識が増え、研究者、企業人、NPOその他のジャンルに、これまでにない人脈ができ、エコロジー活動の輪が広がった。

CFP臨時勉強会の資料は、www.decos.co.jpでごらんいただけます
デコスファイバーCFP算定結果(PDF 1.2M)

CFPその後の展開

LCCM住宅
LCCMはライフ・サイクル・カーボン・マイナスのこと。住居という長い寿命のなかで、建設時、運用時、廃棄時にできるだけCO2を減らす取り組みをするLCCM住宅構想である。太陽エネルギー発電などを、再生可能エネルギーを使うことで、建設時のCO2排出量をふくめるのはもちろんのこと、生涯のCO2収支をマイナスにする暮らしの提案、究極の環境住宅として動き始めている。
住宅用、カーボン・オフセット・サービス
さらに、安成工務店の標準的な住宅は消費エネルギーは45GJ~55GJと、標準値より4割低い。OMソーラーシステムと太陽発電を両方搭載したモデル(モデルハウス・木そら)は、発電量と太陽熱を消費量からマイナスすると、20.8GJと7割下がる。そこで、安成工務店ではこの画期的な結果を、住宅商品としてカーボン・オフセット住宅に生かしたいと商品化を検討している。

太陽と風の力で、木材をブランド化「津江杉」

伝統の技が鮮やかに現代に蘇る「護持の森」と「きやどん」

大分県日田市上津江町は町の9割が森林という。古くから山林の持ち主の依頼で、山の手入れから伐採、市場に出荷するまでを管理してきた人たちがいる。「きやどん」である。その業務のモダナイズに成功しているのが、安成工務店のパートナー、トライ・ウッドである。「護持の森」はトライ・ウッドが管理する100ヘクタールもある山林。広さは甲子園が25個入るほどもある豊な森林である。現代のきやどんたち、トライ・ウッドはこの森を守り、伝統技術を維持し、森と町の人の関係を大切に、持続可能な低炭素化社会にむけて活動してる。

自然の力で低温乾燥。木の持ち味を生かした伝統の「輪掛け乾燥」

木材本来の持ち味、強度、耐久性、調湿性、それに色、つや、そして香りを生かすには、乾燥方法が生命線である。建材業界では通常、120℃の熱で、人工的に高温乾燥する。それでは抽出成分が熱で変質し、防虫効果や耐久性、木の香り、質感が損なわれてしまう。そこでトライ・ウッドは伝統的な天然乾燥法、「輪掛け乾燥法」を取り入れ、進化させた。太陽と風による自然乾燥である。60年生の木を丸太にし、樹皮をつけた状態で土に触れないように井桁に積み、たっぷり太陽と風が受けられる昔ながらの方法、虫や腐食を防ぐ伝統的な乾燥方法である。また、十分な熟成期間をおくことで、木の色を美しく、統一の色調にする効果もある。

自然乾燥にはもう1つの意味がある。自然の力で乾燥するためCO2を減らす効果があることも、大きな魅力だ。伐採したての木は常に土から水分を吸い上げている状態。含水率は200%なので、このまま加工して柱やに使うと、「ちじみ」や「ねじれ」が生じる。「輪掛け乾燥」はこの状態で1年間置く。その間に水分は40~50%に下がる。、その後、養生から仕上げまでさまざな処理をする間に水分は25%になり、理想的な建材商品ができる。

津江杉でできたキュートな「エコロ」

山口県下関市菊川町では、古紙回収と交換に地域通貨「エコロ」がもらえるしくみ。そのエコロも実は津江杉でできたキュートなエコマネーだ。地域の商店街の文房具屋や、温泉施設で利用できる。中にはキュートなエコロを記念に飾っている人も少なくないと聞く。こうした地道な活動が、山と町の交流活動に大きな役割を果たしている。

木質資源の循環事業「燃料用木製ペレット」

上津江村や山口の木材で住宅用構造材を製造する関連会社、エコビルド。その端材、おがくずや、かんなくずをリサイクルするのが、木質ペレットの燃料製造である。これまで年間120tの産業廃棄物として焼却していた木材をペレット化するプラントを建設した。このうち100tを安岡エコタウンの地域集中冷暖房システムに活用している。


ゼロエネルギー住宅をめざし、環境未来進行形

OMソーラーのパッシブ思想に触発され、木の家をつくることにはじまった安成社長の夢。新聞紙をリサイクルしてつくるセルロースファイバー断熱材、木材の産地との運命的な出会いで、太陽光をふんだんにとりいれた理想的な木の家づくりに着手。パッシブな考え方は、いつしかエコロジー全体に取り組む栄養素となり、安成エコロジー哲学に進化した。菊川町に古紙回収を地域循環と環境循環システムとして機能させた。環境教育は森林バスツアーなど、また食育を目的に、生ゴミリサイクルで展開する「エコ畑」を幼稚園で野菜づくりの活動など、数え切れない環境事業が未来に向かって進んでいる。

大規模商業施設、エコなニュータウン建設、集合住宅や医療施設など高度な技術を生かした事業が進行するなかで、いまも安成社長は「木の家」にこだわっている。伝統技術と先端技術を組み合わせ、自然素材と融合させた環境共生住宅はいわばライフワーク。次の目標はさらに画期的なCO2削減や消費エネルギーを下げて、ゼロエネルギー住宅へとパッシブに環境の夢を広げている。


My ecomoyo

ecomoyoは独創的な視点で環境活動をしておられる方々に焦点をあて、地球環境、低炭素化社会を考えるWebマガジンです。みなさまからのいろいろな意見を取り入れ、応援いただきながら、読み応えがあってエコロジー文化あふれるコンテンツを目指していきたいと考えております。
このコーナーは編集部を通じてみなさまのご意見やエコロジーの提案、環境テーマの作品、動物や植物、自然風景や環境イベント、ふるさと自慢の写真作品、画像等、どしどし投稿をお待ちしています。採用作品はサイト内で主旨、テーマ、作者を紹介させていただきます。締め切りは2012年12月20日です。送り先はメールでcfp@jemai.or.jp、ecomoyo編集部まで添付をお願いします。

編集後記

本誌は株式会社デコスの安成社長にCFPについてお話しを聞かせていただく企画だった。お会いして知的なものごし、環境理念や人との関わり方に、「これは社長が生涯をかけて作ってきた住環境の歴史物語だ」と直感した。
事業規模を飛躍的に拡大させ、多様な環境技術や循環システムを開発、成功に導いた。それらは社長が手がけたほんの1例にすぎない。本当に心をうつのは、小さなことにも自ら関わり、会社の人たち、関連企業の人たちに混じって一緒に活動してこられた社長の人となりにある。それがゆるぎない信念とともに人を吸引してきたことを感じる。
一貫したエコロジー思想を元に、事業設計、事業を発展させてこられた安成社長の行きかたに共鳴して、次世代、またその次の世代にも、その心を受け継いでいくリーダーが現われることを予感しながら、日本の環境未来進行形を予感した。


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